デッキの均衡


今まではカードに対して「効益」の概念を使ってきましたが
今回はデッキに対しての考察をしたいと思います

(1)デッキの期待効益

定義ではカードの強さに対して「効益」という概念を用いていましたが
ここでは、デッキに対しても用いりたいと思います
あるデッキの強さをDiとしたいと思います

(2)デッキの均衡

デッキは人の数だけ存在しますから、途方もない数存在することになります
ただ、タイプ別に分けるとある程度の分類にまとめることは可能です
ここでは基本的に最初はタイプ別に分けた場合に考えていきます

例えば、現状で最も強いとされるデッキD1があったとしましょう
このデッキは最強とされていますがそれに対抗するために作られた
デッキD2には相性的にも悪く負けてしまうとします
すると、デッキD1が大会に多いと判断した人たちはD2を使い始めます
D2が大会中に多くなると相対的にD1の勝率が下がりますので最強ではなくなります
ただ、D2はD1には強いですが、総合的にはそれほど強くはないとしましょう
そうなると今度はD1程の安定性はないもののD2には弱くないデッキD3が台頭してきます
今度はこのD3を選択するプレイヤーが増えていくことになります
そうすると、D2を使うプレイヤーはこの影響で減っていくはずです
ここで、D2が減ってくるとD1が相対的に強くなり、選択するプレイヤーも増えていきます
そうするとD2がまた少し増えD3も若干増えます…以下その繰り返しです
この繰り返しが行き着くところまで行くと(大会などにおいては)D1〜D3の強さが均衡状態になります
これがゲーム環境が正常な場合に起こる現象と思われます

(3)デザイン時点の均衡

上の均衡は大会の中というフィールドの中で均衡が作られていきますが
理想を言うならば、カードデザインがされる時点で均衡が作られるのが最も望ましいです
ただ、上でも述べましたがデッキの数はかなりの種類あるのである程度の規模になると
そういった事も難しくなっていきます、ですので(2)のような自然な均衡が必要なのです

(4)初期的欠陥

ただ、デザイン時点で均衡を作ることは難しいですが
均衡をぶち壊すことは容易にする事ができます
これは新しい商品が出るときにパワーバランスがおかしいと言われるような
デッキ間のバランスを壊すカードをデザインすることです
これによって一つのデッキ、もしくはあるカードがはいるデッキが異常に強くなってしまい
(2)で述べたように自然な均衡へのシフトが起こらなくなり、特定のデッキのみが強くなってしまいます

本来でしたらこういった事態はしっかりとしたカードデザインと
入念なテストプレイによって避けることが望ましいといいますか
避けなければいけないことではあるのですが、難しい面があるのもまた事実です

こういった事態を調整するために「エラッタ」や「ルール改正」があります
この後出し的な調整によってデッキの強さを一定に保つようにすることができます

エラッタというのはゲームが健全な状況では発生しません(ルール的矛盾等の例外は除く)
ゲームが病的な状況に陥っているために強さを制限するようなアクションが起こるのです
例えば、ゲームとして完全な均衡を保っているものとして「じゃんけん」をあげることができます
この「じゃんけん」は法則的、心理的アピールを無視すれば勝つ確立は同じです
そのため、どれほど昔からあるのかは知りませんがルール改正ないはずです
もちろん、小学生がゲーム性を加えるために様々な付加ルールをつけたりはしますが
大々的に新たな第四の勢力を導入といったことはあまりないはずです

では、ゲームバランスが崩れた状況とはどういうものなのでしょう?

(5)1ターンキル

異常に強いカードがでればそのデッキが多くなります
もちろん、最初の例のようにそのデッキの対抗馬を作れば良いのですが
他のデッキにあまり勝てない場合、そのデッキが選ばれることは少ないため
よほど多い場合でないと最初の説明のような状態にはならず
D3が出てくる前にD2が大会に出ることなくD1のみになってしまいます
現状ではそれまでになることはある程度までは防げています
これはある程度勝てる対抗馬が作られ、ある程度強いデッキができれば
連鎖的にデッキの強さと数的バランスの均衡が作られるという
最初の例で示したことが現実に(ある程度)起きているからだと思われます

ですが、過去に1ターンキルというデッキで完全にバランスが崩れる可能性がありました

現在でも1ターンキル(1ターンで相手を倒すデッキ)は作ろうと思えば作れますが
そのデッキが期待通りに機能する確立がかなり低くなると予想されるため
結局、期待値で考えれば勝率はあまり高くないため使用する人間はあまり居ないと思います
ですが、逆を言えばある程度機能してしまうのなればそれは相当の脅威になります

1ターン目で相手を倒してしまうのであれば当然、対抗するデッキは作れません
という事はD2以降のD3といったデッキも当然出てこなくなり
大会には1ターンで相手を倒すことができる、期待効益のかなり高いデッキが席巻することになります