「おーい、陽太君〜」

「お!傑君じゃん…今日、帰ってきたんだ」

「うん、もう毎日練習で疲れたよ…あれ?何処行ってたの?」

「いや、ちょっと」

なんかさつきの事を言うのには抵抗があった

「ま、いいや…それよりもちょっと付き合ってよ」

そう言って傑君は手を回すしぐさをした

「…パチンコ?」

***

「よーし、今日こそ携帯ゲームあてるぞ〜」

俺たちはおもちゃ屋の前に来ていた

もちろん、パチンコをしにきたわけではなく

「…あー!こんなわけのわからないおもちゃはいらん!」

「…傑君、携帯ゲームって千円くらいで売ってるよ?」

俺が見ているだけでも彼はこのギャンブルに千円以上掛けていた

「ふ…漢ってのは…物じゃなくて夢を求める生き物なのさ…」

たしかそれは彼の父親が日曜に良く言っている口癖だった

「だから、ヨーヨーはいらんヨーヨーいれるならHヨーヨーにしてくれ」

Hヨーヨーってのは今子供に大ヒットのおもちゃだ

「あぁ…この台は駄目だ…やっぱ松本屋のガチャガチャの方が出るな…」

「出るっていっても携帯ゲーム一回も出したことないじゃん」

「…!そうだけど…まぁ、陽太君も一回やってみ?」

「そうだね…」

俺は昼間のクレープのお金のあまりを入れた

「…ん?指輪か…男の俺がもらってもな〜」

「いや、でも水色はレアだぞ、白とか黄色は良く出るんだけどね」

傑君が良く出すという事はそれ程「当たり」ではないらしい

う〜ん、どうしよ…そうだ!さつきにあげよう!

「そういえば、ガチャガチャってガチャポンとかガシャポンとも言うよね」

きっとさつきは喜んでくれるに違いない…

「でも、ガチャポンだとほら、あの番組の緑色の方に似てるよね」

でも、何か指輪を渡すってのも恥ずかしいな…う〜ん

「もう、今日は駄目だな…帰ろうか?陽太君」

まぁ、でも明後日で帰るし…旅の恥は掻き捨てっていうしね

「お〜い、聞いてる?」

よし…明日渡そう…