大きな桜の樹の下に小さな女の子が居た

一人で…いつも一人で…でも

「何してるの?」

別の女の子が声をかけた

「…」

「どうしたの?泣いてるの?」

「…」

言葉にならない声

「…穴、掘ってるの?」

「…」

コク

「手伝おうか?それ、埋めるんでしょ?」

女の子は傍にあった箱を指した

コク

「じゃあ、手伝うね…」

***

「…これで良し…」

女の子が土をポンポンと叩きながら言った

「…」

「そろそろ帰らないとね…」

「…」

「はい」

女の子がハンカチを差し出した

「…泣きたい時は笑うんだってお父様が言ってたよ」

「…」

「もう帰らないと…バイバイ、また遊ぼうね!ハンカチはその時でいいから」

「…あ、待って!」

女の子が始めて口を開いた

「ん?何?」

「…ありがとう」

女の子は眩しいくらいの笑顔だった

「うん!」

もう一人の女の子も嬉しそうに答えた

これが本当の出会いだった

こんな小さな事の繰り返しが世界を創っていく

その時、誰も知らなくても