第1話「目隠しの街」
藤田:ここに来るのも久し振りだな…(前にもこんな事言った気が)
金子:…うぅ、眠い
藤田:にしても、良いのかい?大阪に続いて秋田まで旅費出して貰って
金子:大丈夫…俺の周りの席は既に親父が確保していたはずだから
藤田:そうなの?
金子:いつもの事だよ…過保護というか犯罪に近いけど
藤田:じゃあ、前の席のカップルも?
金子:多分
藤田:後ろの席のちょっとヤバ目のお兄さん達も?
金子:…恐らく
藤田:隣の家族連れは?
金子:…どうだろ
藤田:金子君はこれからどうするの?
金子:とりあえず、先方の家に行く…君は?
藤田:俺はまずは…友達に会いに行くよ
金子:じゃあ、俺あっちだから
藤田:また後で
***
金子:…ここ、だよな…
親父のメモ通り、小高い山を登ったら
でかい家が1軒…
表札は…どこだ?
<フォント変え>山百合
金子:渋い…流石は親父の親友だ…インターホンは…無いのか?
こういう場合は…
金子:たのも〜!
…反応なし
台詞間違えたかな?
金子:ごめんくださ〜い!
声:は〜い
金子:お、正解!
声:はい?
金子:いえ、何でも…あの〜金子と申しますが…
声:はい、承っております…どうぞ入ってください
金子:はい
ガラガラ〜
***
松田:よう、久し振りだな
藤田:そうだな…元気にしてたか
松田:ところで…
―時が経つのは速いもで―
松田:さて、俺はこれから用事あるから
藤田:おう、また後で
ファーストフード店で店員に疎まれつつも3時間程
旧友と話し込んだ俺は店を後にし
懐かしいセピア色の待ちを歩いていた
「確かあいつに会ったのもこの辺だったよな…」
まるで昨日のようにあの日が蘇ってくる…
ドン!
そうそうこんな感じにぶつかったんだよな…ん?
「う〜、痛いよ〜」
あの日から止まっていた時間が今…ゆっくりと動き出した
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sideA:胸懐
sideB:縁