第2話「賢-MynameisTom-」

黒木:…ここか

緒方:お久しぶりです、黒木君

黒木:緒方君…君も呼ばれていたのか

田口:よぉ、お二人さん

黒木:やぁ

佐藤:集まったようだな…

緒方:これは佐藤さん…お招き頂き、ありがとうございます

佐藤:早速だけど君達には「ORZ」という計画に協力してもらいたい

田口:ORZ?

佐藤:名前は今、私が勝手に決めたものだが…カードゲームを通しての能力開発の計画だ

黒木:能力開発?

佐藤:そうだな…エスパーという物に近いかもしれない

田口:えっと、つまりGWを通してニュータイプでも作る気ですか?

佐藤:平たく言うとそうだな…あ、もちろん変な事はしないただゲームをするだけだ

黒木:そんなんで能力開発ができるんすか?

田口:(それ以前に、むちゃくちゃ胡散臭いぞ…)

佐藤:以前から研究はしているのだが、人にはまだまだ不思議な力が備わっているようなのは確かだ

黒木:藤田とかその辺の人たちですか?

佐藤:彼らのような能力者は別物だな…彼らは所謂「魔法使い」やら「術者」の類だろう

緒方:それだけでも十分ファンタジーですけどね

佐藤:ただ、そういった特別な力の存在もある以上、研究と努力次第ではそういった力も付くのではないかという事だ

黒木:でも、なんで俺達なんですか?

佐藤:これはまだ確証はないのだが、10代前後が一番適性が高いというデータも出ているんだ

田口:へぇ、じゃあ刻が見えたりするのかな?

緒方:…人がそんなに便利になれるわけ…ない…

黒木:は?

緒方:言ってみたかっただけです…こんな台詞、一生で一度言えるかどうかですからね

黒木:(別に言わなくても楽しい人生送れると思うけど)

佐藤:ともかく、内容自体は普通にGWをやってもらうだけだから

田口:…そんなんでわざわざこんな所まで呼んだんすか?

佐藤:あぁ

田口:(なんか怪しいな)

緒方:(悪い人ではないと思うのですが…)

黒木:(う〜ん)

佐藤:期間は3日間だけだから

田口:そんな短期間でいいんすか?

佐藤:今回はあくまでもデータ集計と初期開発だから

黒木:…

佐藤:どうだろうか?

黒木:その能力開発をすれば…ノリに…中村に勝てますか?

佐藤:…そうだな…イーブンな立場になるだろう

黒木:イーブン?

佐藤:恐らく中村君にはBASEという先天的な力があると推測されている

田口:BASE?

佐藤:詳細はまだ分かっていないが…先天的に集中力を増す力とされている

緒方:集中力が増すとどうなるんですか?

佐藤:平たく言えば、集中している事に限定して頭の回転がすこぶる良くなる

田口:へぇ…それも能力なんですか?

佐藤:先天的なものだがな…一流のスポーツ選手や棋士の中にも存在しているらしい

黒木:それをマスターすることができるんですか?

佐藤:何度も言っているがこれは先天的なものだ…私の研究とは関係ない

田口:(さて…)

緒方:(どうしたものでしょうか…)

黒木:…やります

佐藤:そうか、協力してくれるか

黒木:はい…俺は…あいつに勝ちたい

田口:…じゃあ、俺もやりますよ

緒方:私も…

黒木:みんな…胡散臭いけど良いの?

田口:君と同じ理由だよ

緒方:虎穴に入らずんば虎児を得ず…ですよ

佐藤:(君子は危うきに近寄らずとも言うが…)

黒木:よし…やってやるぞー!

佐藤:(ノリノリだね…)