最終話「旅立つ僕ら」

中村:それにしても、最後にバイク乗りの楽園が来るとは思わなかったな

黒木:自分もあのカードに助けられるとは思わなかったよ…運が良かったな

中村:いや、運も実力のうちっていうからな…デッキにカードをいれなきゃ引けないからな

佐藤:その通りだ、運が良い人というのは不運が少ない人のこと…つまり

黒木:つまり?

佐藤:野生的な勘によっていかにリスクを避けるかがポイントなのだ

中村:はぁ

黒木:僕らがうけた訓練もそのためのものですか?

佐藤:一応そのはずなんだけど…やっといてなんだが自分でも良く分からんのだ

黒木:そうですか…

佐藤:ともかく、勝者は君だ…君が頂点に立ったんだ

中村:まぁ、俺がすぐに追いつくけどな

田口:追いつくだけか?

緒方:そうですね…なら私はお二人を追い越しますよ

中村:言葉のあやってやつだよ

田中:言霊って言葉もあるからな

金子:無意識に発する言葉こそ真意という見方もあるし

黒木:内心では俺には敵わないと思ってるんだろ?

中村:そんなことは断じてない!つーか、非オフィシャルでは俺がチャンピョンだっつーの!

田中:何年前の話だ?

中村:つい最近の話だ

黒木:ははは(笑)

中村:(笑)とか言うな!

田中:はははw

中村:wとか言うな、そして指さすな!

***

広轟:…心配する必要はなかったようだな

佐藤:来ていたんですか?

広轟:あぁ

佐藤:どうです、彼らは?

広轟:良いものだな

佐藤:あんな時代がありましたね、私達にも

広轟:当時はトレーディングカードゲームなどなかったがな

佐藤:えぇ…でも、だからこそ私は今ここにいるんですよ

広轟:そう言えば君が研究者を志すようになったのは彼らくらいの時か

佐藤:もう少し上でしたが…

広轟:そうか

佐藤:今にして思えば偶然ではなかったんですね、全てのことが

広轟:…そうか?

佐藤:えぇ、そう思います

広轟:それは今ここに結果があるからではないか?

佐藤:分かりませんが…そう思いたいんです

広轟:なるほど

佐藤:全ての出会い、出来事が必然であると