その日は、雲ひとつない青空だった

もしかしたらそこまで快晴ではなかったかもしれないけど、青空だった

まぁ、実際は空がどうだろうと関係はなかった、今は夏休みだから

別に休みだから何かするといったわけでもないけど、休みってだけで気分が晴れてくる

そうでなかったらこんな暑い中、散歩に出かける気にはならなかっただろう

散歩といっても俺は無目的に体力を消費するようなことはしない

ちゃんとコンビニにジュースを買いに行くという目的を持ち、そのついでに散歩をエンジョイしていた

近くのコンビにまで徒歩五分、往復で十分もの貴重な時間を費やして俺はコンビニへと向かっていた

しかし、目の前の信号機は赤

この信号が赤だとコンビにまでの時間は片道六分へと変わってしまう

無駄な時間だと思うが人生立ち止まることも必要と思い、おとなしく待つ

隣にいるじいさんは走りたくてしょうがないのか、汗だくになりながら足踏みをしている

きっと、立ち止まっている余裕がもう、ないのだろう

そんな下らない事を考えているとじいさんが突然、走り出した

気が付くと信号が赤から青へと変わっていた

俺もコンビニへと急ぐことにする


自動ドアが開くとそこは外のくそ暑い世界とは違ったパラダイス…ではなかった

正確にはドアも自動ドアではなく、ただ開きっぱなしになっているだけで別に俺のために開いているわけではないようだ

だが、さすがにジュースの置いてある棚はかすかに涼しさを感じることができる

俺は新発売の炭酸飲料を無人のレジへと持っていった

「…すいませーん」

店の奥へと声をかけるが返事はない

良く考えるとセキュリティ上、問題が大有りだと思うが…店側は特に気にしていないようだ

「誰かいませんかー?」

もう一度声をかけたが、やはり誰も居ないようだ

代金だけ置いていこうかと思ったが、丁度なかったのであきらめる

仕方なく俺はこのあたりで唯一のコンビニ「暮らしのパートナー コンビニ ヤマクラ」を後にした

「あれ?…吉野?」

店を出た瞬間、無人のはずの店内から声をかけられた

「あぁ…山倉」

クラスメートの山倉 夕だった

「何してるの?…あぁ、買い物に来たんだよね…ん?誰かいた?」

「誰もいなかったけど…つか、そんなんでいいのか?」

「問題ないんじゃない?私が今ここにいれば」

さっきは居なかったけどな

「で、何か買うの?」

そういって彼女はレジの方へ行ったと思ったらさらに奥の方へと行ってしまった

とりあえず、さっきの飲料水をもってレジの前で待つ

すぐに彼女はエプロンを着けて戻ってきた

「147円ね」

俺は無言で150円を出した

「おつりは…はい、3円になります。ありがとうございました」

そう言って彼女はわざとらしく深いお辞儀をした

「じゃあ、頑張ってね」

「え〜帰っちゃうの?」

「…」

「暇だから、話でもしてこうよ」

そう言われて、仕方なく店内に戻る

とりあえず、手に持っているペットボトルが温くはならないかが心配だった


ホーム 目次 次へ