「結構買ったな〜本も結構借りたし…ルールとかも大体把握できた…かな?」

とりあえず、俺は武士の勧めで最新のスターターというヤツと

ベースドブースターとコモンボックスを幾らかか買い、武士に数十枚カードを貰った

「そこの人!どいて、どいて〜」

買ったばかりのカードを眺めていた俺は満足に回避する事が出来なく…

ぶつかった。

「う〜、痛いよ〜」

足元を見ると小柄な少女が鼻の頭をさすっていた

「すいません、よそ見してて」

見た感じでは年下に見えたが一応、敬語で謝っておく

「そんなことはどうでも良いから早く!」

すると少女は俺の手を掴み走り出した

「…何?どうしたの?」

「言いから走って!」

それから随分走って、通りの端の当たりで少女は止まった

「ふぅ〜何とか、逃げ切れたね」

彼女は大きく一呼吸して言った

「たねって言われても何がなんだかこっちには分からないんだが?」

「追われてたんだよ」

「何で?」

「実は…とっても面白そうなカードゲームがあったから買おうと思ったんだけど
レジに行った時に財布を忘れた事に気付いて…そのまま走って逃げちゃったんだよ」

「それは犯罪だろ…ん、それは」

俺は彼女が胸に抱えているもの―盗品だが―を見ながら言ったのに

「これ?これは大切な人に貰ったんだよ」

何故か彼女は頭に付けているカチューシャを触りながら答えた

「じゃなくてその胸に抱えてるヤツ」

「あぁ、ガンダムわーっていうんだよ〜」

何でみんなWARをわーって読むんだ?

「わーじゃなくてウォーだ…お前それできるのか?」

「分からないけど…あれ?君が手にもってるのもそうだよね?」

彼女は嬉しそうに尋ねた

「そうだが、俺もルールはよく知らねぇぞ」

「だったら今から一緒にやろうよ!」

「何で?」

「2人でやったほうがルールを覚えやすいよ!」

そうかもしれないが、全くの初心者が二人でというのも…まぁ良いか

***

「さて、俺はこの構築済みデッキ―初心者君1号のAセットを使うが」

とりあえず武士に買えと言われた商品だ(実在する商品ではありません↑)

「じゃあ、ぼくも構築済みデッキ―初心者君1号Ωセットを使うよ」

Ωって…何種類あるんだ?この商品(実在する商品ではありません↑)

「えーまず、デッキを良くシャッフルします…そして相手にもシャッフルして貰う」

ルールブックを片手に俺はデッキをシャッフルした

「その前に向かいあって挨拶だよ〜」

「今回はめんどくさいから省略だ…でじゃんけんをして買った方が先行か…」

「ぐ〜、負けちゃったよぉ」

「で、本国から6枚を引いて手札にする…」

「最初はリロールフェイズってヤツで横向きのカードを縦にするんだよ」

「だけど、最初だから俺の所にはカードが1枚も無い」

「そうだね、次はドローフェイズで〜カードを1枚引くんだけど先行の人は最初のドローは無しだって」

「じゃあ、配備フェイズだな…青のGカードを2枚配備して…」

「ダメだよ、コマンドカード以外は基本的にターン中1枚しか配備できないんだよ」

「そうか、じゃあ1枚配備…んでジムを配備…横向きだな」

「ロール状態っていうんだよ、縦向きの時はリロール状態」

「で、戦闘フェイズだが…出撃も何も無いな…じゃあエンドだ」

「じゃあ、リロールフェイズだね…って何で君もリロールしてるの?」

「え…何!?リロールフェイズは手番プレイヤーしかリロールできないのか!」

「じゃあ、ドローするね。次に配備、緑Gを配備するよ…エンド」

「よし、じゃあリロール!起きろジム!そしてドロー、青Gを配備!で、出撃!」

「ちょっと早いよ〜一応、相手に確認をとってやってよ〜」

「ごめん…で、ジム出撃して良い?」

「うん良いよ〜」

「じゃあ2ダメージを本国に与えるぞ!」

「待って、フリータイミングにカードを使うよ」

「フリータイミング?」

「ルールブックに書いてあるでしょ〜じゃあ、赤い彗星を使うね」

「するとどうなるんだ?」

「赤い彗星はユニット1枚に3ダメージを与えるから防御力2のジムは破壊されるよ」

「この<ダメージ判定ステップ>とは何だ?」

「このカードが使えるタイミングだよ〜」

「えーと、じゃあ俺はこの回避運動を使うぞ!これで防御は5になってジムは破壊されない」

「じゃあ、本国に2ダメージだね」

数ターン後

「よし、じゃあガンダムを宇宙に出撃させるぞ」

「じゃあ、ヴァル・ヴァロを防御に出すよ、それで最後の仕上げをガンダムに使うよ」

「え〜と1ダメージ、ガンダムがうけるのか」

「それで、ダメージ判定ステップのフリータイミングに範囲兵器を使うよ」

「範囲兵器?ちょっと待て…え〜と」

俺は慌ててルールブックの読み始めた

「…分かった、つまり防御力が範囲兵器(X)のX以下の場合、破壊されるんだな」

「そうだよ、だから1ダメージうけてガンダムは防御力2になったから範囲兵器(2)で破壊だね」

「ん?ダメージをうけても防御力には影響しないだろ?」

俺はさっきルールブックにそんな事が書いてあったような気がしたので言った

「え?そうなのダメージを与えて防御力を減らすんじゃないの?」

「いや、防御力はダメージによって減少しないんだ。ダメージが防御力の値以上になったら破壊だろ」

分かりやすく防御力をX、ダメージをYで式で表すと、彼女が言っているのは(間違い)

X−Y≦0の場合、破壊されると言いたいわけだが実際にはXからYは引かないわけだ

X≦Yの場合に破壊されるわけだな…上の式を移項すると下の式になってしまうがダメージは引くものじゃない

比較するものというわけだ、つまりそれぞれ別のものというわけだな

「そうなんだ〜つまり今ガンダムは防御3でダメージの蓄積が1なんだね」

「そういう事だ」

「でもガンダムじゃヴァル・ヴァロは破壊できないからガンダムだけ破壊だね」

「あぁ…ターン終了だ」

「え?そうなの何かカード使わないの?」

「何でだ?」

「だってヴァル・ヴァロで破壊しきれるのにガンダムをわざわざ出撃させたから」

「もしかしたら、お前が出撃しないかもしれないと思って出撃した」

「え?そうなの」

「俺が何かしそうだと思ったら防御に出ないで様子をみるのも手だろ?」

「あぁ!そうだね、賢くなったよ」

リロール、ドロー、配備フェイズ終了

「じゃあ、宇宙にヴァル・ヴァロを、地球にはズゴッグEを出撃させるよ」

「宇宙にジムを防御に出して、地球に北極基地をだそうかな」

「無理だよ」

彼女が勝ち誇ったように言った

「何でだ?」

「ヴァル・ヴァロは高機動だから高機動を持ってるカードしか防御に出撃できないんだよ」

「北極基地の方は?」

「ズゴッグEの水は水を持ってるユニットしか防御に出せないんだよ…確か」

確かという部分が気になり俺はルールブックを広げた…すると

「違うぞ?水は(地球で)拠点を防御に出せなくなるだけじゃないか」

「え?そうなの」

「よって俺はガンダム試作1号機を防御に出す」

「え〜とじゃあ、宇宙から本国に4ダメージで地球では両方破壊かな?」

「ふ…甘いぞ!ガンダム試作1号機は砂漠を持っているからズゴッグEはロール状態だ」

俺は勝ち誇ったように言った

「砂漠?」

「そう、砂漠とは砂漠だけの部隊がそうでない部隊と地球で交戦中になった場合
先頭のユニットをロールする事ができるテキストなのだ」

「…部隊?ユニット1枚だけでも部隊なの?」

「そうだ、1枚だろうが2枚だろうが40枚だろうが部隊は部隊だ」

「それじゃあ、本国に4ダメージだよ」

1、2、3、4…ん?俺の本国が残り1枚に!

「リロール、ドロー!…来た〜回復カード、半舷上陸」

「回復って何?」

「回復とは回復する値だけ捨て山の上から本国にカードを移すんだ」

「でも、今カード引いたときに本国が0になったでしょ…負けじゃない?」

「ちょっと待てルールブックで確認するから」

え〜何々…!

「どうだった?」

「0になった瞬間に負けだって」

「やった〜じゃあ、ボクの勝ちだね」

「あぁ、お前の勝ちだ…所で名前はなんてゆうんだ?」

今更ながら、お互い名前すらしらない事に気付いた

「ボクの名前は…杉田さつき、だよ」

「俺は、藤沢湘だ」

「湘君だね…あ、もうこんな時間だ〜帰らなくちゃ!バイバイ、湘君」

「あぁ、じゃあな」

俺の初GWは敗北だった