「失礼しましたー」

俺は日直だったので日誌を置いて職員室を後にした

「さて、これからどうするかな〜」

帰宅部の俺は放課後これといって用事もない

武士は今日発売の漫画があるとかでとっとと帰ってしまったし…

「商店街でも寄ってくかな?」

そして、鞄を取りに教室へ行くと

「あ、藤沢君!じゃあね」

俺の心の太陽―山百合神奈―が声をかけてきた

「じゃあね、山百合さん…これから部活?」

いつもは一言だけ言って終わってしまうが今日は何故か二言目が言えた

「うん…藤沢君は帰り?」

「まぁ、特に用事も無いからね…商店街でも寄ってこうかと思ってる」

「じゃあ、昇降口まで一緒に行かない?」

―え?

「…どうしたの?」

「え、いや何でもない行こうか?」

俺は一瞬かなり驚いた

いつか言えたら良いのにな〜なんて思っていた言葉をまさか彼女に言われるとは…

「じゃあね…」

「うん、またね」

それは5分にも満たない時間だったけど

俺にとっては至福の一時だった

俺は靴を履き替えるとスキップし

鼻歌を歌いながら商店街へと向かっていった…