「ふふふふ〜ん♪」

「湘く〜ん」

「ふふ〜ん?…なんださつきか」

人が幸せの絶頂を感じている時に無礼な奴だな

「なんだじゃないよ〜何だかすごくにやけてたから」

そんなににやけてたのか?俺

「まぁ、良いじゃないか…それより箱ににたくせん入ってるのは…」

確かこの前も持っていたはず…

「ガンダムウォーだよ」

「また、盗んだのか?」

「ぐー!違うよ〜貰ったんだよ〜」

また、屁理屈を…

「良いか?店の人は金を貰えるからお前に品を渡したんだ、分かるか?」

「そんな事分かってるよ〜この前の事を謝ってお金払ったらおじさんがくれたの」

何て人が良いおやじなんだ…謎のTCGショップ店長

「…にしてもたくさん盗っ、いや貰ったな」

「そうだね…3枚以上あるカードもあるから君にもあげるよ」

といってコイツは俺にカードを差し出した

「まぁ、ありがたいんだが商店街の真中ではやめようぜ」

結構色々な人が怪訝そうにこちらを見ている

小柄な身体にでかい箱を両手にしているさつきはおそらくかなり目立っているはずだ

そんな少女が左手をプルプルいわせながら手ぶらの俺にカードを渡している

何とも異様な光景だ…こういう場合、俺が箱を持ってやるべきだな

「とりあえず、箱かせよ」

「ダメだよ〜全部はあげないよ」

「誰が全部くれって言った!持ってやると言ってるんだ」


そして俺たちは商店街のホビーショップのデゥエルスペースへ来た

ここのデゥエルスペースは設備が良いのにあまり人が居ない穴場だ

あまり人がいるのは見たことが無いが何故か伝言ノートは信じられない速さで

書き込みがされている…かなり謎だ

「なんだ?カード1枚1枚、なんか入れ物に入ってるのとでかい箱にたくさん入ってるのもあるな」

とりあえずでかいダンボールの箱を俺たちは漁った

中には透明のケースに入ったカード、大き目の箱にカードが大量に入っている物

スターターの箱にカードが入っている物と普通の商品がたくさん入っていた

「この透明の入れ物ってたしか”スリーブ”って言うんだよ」

「何か意味あるのか?」

「カードを汚れは手油なんかから守ったり…あとこれは透明だけど片方は色付きのもあるよ」

「そうか、裏が色付きなら不正防止にもなるな…後は好みか」

なんかカードによって裏のGのマークの印刷が違う気がするんだよな…

「で、この大きい箱はボックスっていうんだよ」

「いや、流石に箱が英語でBOXってのは知ってる。多分幼稚園児でも知ってるやつはいる
 だから、あんまり自慢気に言わない方が良いと思うぞ?」

「じゃなくて何ていうか固有名詞なの…ん、単位かな〜」

「まぁいいから説明しろよ」

「あのね商品としてブースターのパックがこの箱に15パック入ってるの」

「つまり、1ボックス買うって事は15パック買うって事か?」

びっく○マンチョコの箱と同じってわけか

「あとスターターの場合は12個入りだったかな?呼び名も違ったりするみたい」

「まぁ、良いやそれで何で大事にスリーブに入ってるカードもあれば雑なカードもあるんだ?」

「シングルカードとコモンボックスってやつだよ」

シングル…独身?コモン≒come on?

「まぁ確かに1枚いりで独身っぽいが…まれに3枚入ってるカードもあるが…これは三角関係?」

「そうじゃなくてシングルカードってゆうのは基本的に1枚1枚を売ってるカードだよ」

「じゃあ、コモンボックスは?」

「基本的にコモンや一部アンコモンをまとめてうってる商品だよ」

「メーカーが売ってるのか?」

「そうじゃなくて各店が色々とやってるんだよ〜だからお店によって値段とかは違うよ」

「そうか…勉強になった…つーか何でお前はそんなに詳しいのかが知りたいが聞かないでおこう」

それが男の条件…いや通らねばならぬ道…

「とにかくこっちのパックをあけようよ」

―――― 開封中 ――――

「うん?なぁこのカードとそれって絵柄違うけど同じカードだよな?」

「そうだよ〜全く同じカードでも封入されている弾によって絵柄が違うカードもあるんだよ」

「なんかルールブックに色々書いてあったなカードナンバーが違う場合はどうとか」

「うん、そうだね」

「この弾はやけにそういうカードが多いな」

半分くらいがそんな感じだ

「それはベースドブースターといって再録が多いシリーズなんだよ」

「再録?MDは録再だが…」

「過去の弾にあったカードを再(ふたたび)録(しゅうろく)したカードだよ」

「ふ〜ん、それって良いことなのか?」

「ほとんどのカードはGWの基本とも言えるカードだから初心者にはオススメだよ」

”だよだよ”ばっか言ってるなコイツ…


「なぁ…ところで何でお前っていつも商店街にいるの?」

「ボクがここに居る理由…?」

一瞬、寂しげな表情をした気がするが気のせいだろうか?

「あぁ…もしかして暇なのか?」

「違うよ〜探し物をしてるんだよ」

「探し物?…何を?」

「えっと…あれ何だっけ?」

「そんな事も知らずに探してるのか?」

「でも、確か大事な物…物じゃないかも…場所?人?…分からないよ」

いまにも泣きそうな初めて見た表情はとても哀しいものだった

「まっ…そのうち思い出すだろ…俺でよければ手伝うし」

「本当!?おねがいだよ〜あ!もう遅いから帰るね…バイバイ、湘君」

「あぁ、じゃあな」

最後は笑顔で良かったなと俺はその時思った