放課後、いつものように二人で街中をぶらついていた

特に買い物はしない、所謂ウインドウショッピングと言うやつだ

だけど今日は何かを買う気なのだろうか、100ショップで彼女は立ち止まっていた

そこは、子供向けのおもちゃが並んでいるコーナーだった

今にして思えば何に使うのか分からない、電話のおもちゃなんかがあった

子供の頃は電話にメールの送受信や通話機能がなくても事足りたという事か

そんな中、彼女は熱心にひとつの商品を見つめていた

「懐かしいな…シャボン玉、いつだったか流行ったな〜」

彼女が手にしていたのはシャボン玉用のストローなんかがセットになっているおもちゃだった

パッケージを見ると石鹸水は含まれていないらしい

「私、シャボン玉好きだったんだ…」

「そう言えば、最初に会ったときもしてたよね」

屋上で初めて会った日、彼女の周りが何故か光っていた

一瞬、幽霊化何かかと思ったが、近づいてみるとなんて事はない、シャボン玉だった

視線を彼女に戻せば、足もあったし手にはストローと石鹸水が入っていたであろうフィルムケースを持っていた

「そう…だったかしら」

彼女は覚えて居ないらしい、という事はしょっちゅう遊んでいるのだろうか

「それより、買うの?」

彼女が手にしている商品を指して聞いてみた

答えの代わりに彼女は商品を棚に戻した、つまり買わないという事だ

「そろそろ、行きましょうか…」

100円ショップから外に出ると辺りは薄暗くなっていた

街灯が灯った

「…じゃあ、帰ろうか」

街に街灯が灯ったら帰る

それがいつのまにか二人のルールになっていた

できれば、もっと一緒に居たいとも思う

でも、彼女もそう思っているのかどうか聞くのが怖かった

そして、彼女が本当に僕の事を好きなのかどうかも…

僕がそんなことを考えているのかどうか知っているのかどうか分からないが

お互い違う方向へ歩き出し、少し歩いた後、軽く手を振り合い分かれた


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