眠りから醒めると、現国の時間は終わっていた
また、あの頃の夢を見ていた
はっきりとは覚えていないけど…確か、あの子が居なくなったあたりの夢だった
今になって思えば、僕はあの子の笑顔が見たかっただけなのかもしれない
シャボン玉も、勝ち負けもどうでも良かったんだ、きっと
それでもあえて、あの日に終わりを切り出したのは
流行り始めた紙飛行機なら彼女にかっこいい所を見せたかったからかもしれない
今更、冷静に振り返っても仕方がない事だけれど…
―冷静に振り返る…
何かが頭の中で結びついた気がする…
シャボン玉が好きだったあの子、引越しをした…
今、頭の中で一つの仮定ができあがりつつあった
でも、それが正しいのかどうかが分からなかった
確かめる術は少なくとも、自分にはない…と思っていたが一人のテニス部員が視界に入ったとき考えが変わった
もしかしたらすぐに分かるかもしれない…目の前を通り過ぎたそいつにとりあえず僕は声をかけた
放課後、ダッシュで僕は100円ショップでこの間みたシャボン玉セットを購入した
早速、家に帰って普段使っていない固形石鹸を削って石鹸水を使った
久しぶりだったので加減が良く分からなかったがとりあえず、膜は張れそうだ
家の庭で飛ばしてみると、小粒の泡ができてはすぐに消えた
石鹸水の濃度を何度か試しながら、最適と思われる割合を創りだす
それでも、昔のあの子のようなシャボン玉はできなかった…
だけど、時代が変わった今なら、あの子のシャボン玉を超える事ができるはずだ
裏技のような気がして少々気が引けたが、僕はリビングに置いてあるパソコンの電源を入れた
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