「行っちゃたね」

山百合さん改め、神奈っちが呟いた

本気で心配してあげているようだ

「別に大丈夫でしょう、悪いことしたわけじゃないし」

「そうだけど、先生も考えてあげれば良いのに…」

「校庭にポエム書く人間に恥じも何もないでしょう」

あんな事する度胸私にはない

仮に度胸があってもしないと思うけど

「それとはまた違うと思うけど」

「本人あれで結構楽しそうだから良いんじゃないの?」

怒られるのもまた一興とか以前言っていた気がする

「確かに楽しそうね」

彼女の表情を見るとまんざらでもなさそうだった

「じゃあ、真聞部に入ってみたら?あいつも喜ぶよきっと」

そうすれば、人数は四人になるので創部に一歩近づく

「ちょっと考えておくね、一応兼部は大丈夫なんだけど」

冗談のつもりだったが、表情を見ると結構マジっぽい

「ところで、何で新聞部に入らないで真聞部を創ったの」

「別に創ったのは私じゃないけど…卯月も昔は新聞部だったんだけどね」

入部して3ヶ月くらいで先輩と喧嘩して辞めたという過去を持つ

「辞めた後も、何か未練があったらしくてね…で、引き込まれた」

「美咲っちはその頃から卯月さんと仲良しだったんだ」

何か美咲っちってのは抵抗を感じるな…

「まぁ、同じ中学だったしね…神奈っちは中学違うもんね」

神奈っちってのも実際言いづらい気がする

「別に中学では仲良かったわけじゃないけどね」

「そうなんだ」

「誘われて…私も彼女も変わり者だからね、気付けば意気投合してた」

今だから分かるけど、卯月は自分が好きになりそうな人間以外には興味をもたない

だから、私に声をかけたのもきっと何処かで気があうだろうと思って声をかけたのだろう

もう一人の彼にしても同じだと思う

でなければ、ただのクラスメートの男子を他意もなく分けの分からない団体に誘わないだろう

そして、幽霊部員になったとはいえ彼もそんな彼女の誘いにのったわけだ

多分、彼女に関係している人間は彼女も含めみんなどこかおかしいのだろう

きっと目の前にいるこの子にしても実際、変わっているところが見受けられる

「…今、何か失礼なこと考えてなかった?」

「いやいや、そんなことないわよ」

「そう、怪しいなー」

そして、そんな変わっているこの子も卯月も私は大好きだ

だから私もどこかおかしいのだろう

こういうのを類は友を呼ぶって言うのかな

そんな事を思いながら私はお弁当を片付けはじめた


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