「結局、どうなんだろう」

運命の日曜とか浮かれていたけど、何も変わることなく日常は過ぎていった夏休み最後の夜

山倉が自分の事を好きなのではないかと思っていたけどその後、それらしいアクションは何もなかった

最初の約束どおり、彼女の家の手伝いは一週間だけだった

店に行くと相変わらず奥に川入はいるようだったけど

一度だけ宿題を写させてもらった以外は買い物に行っても軽く会話を交わすだけ

むしろ、お兄さんと会話したほうが多い気さえする

山倉は俺のことが好きなのだろうか…

好意を持っているから手伝いに誘った…

そう考えるのはおかしいだろうか?

日曜の映画のときも最初、俺とペアになろうとしていた

何より、「吉野君が来てくれれば…」という言葉

「分からん…」

そもそも、俺はどう思っているのだろう

俺は、山倉が好きなのだろうか…

確かに見た目は可愛いほうだと思う

いつか、拓とクラスの女子の話をしたときにあいつも可愛いとか言ってたし

性格も明るくて、花で言うと向日葵とでもいうか周りまで元気になる

…何か違う、そういう理由を探しているのではなくて

好きかどうかで言えば好き…だな

それは友達としてでなくそれ以上としてだろうか?

「それ以上って何だよ…」

思わず少し考えたしまった「それ以上」のことを…

そして自分で勝手に妄想しておきながら照れてしまう

何で照れてしまうのかってのを考えると…

「きっと、俺は山倉が好きなんだな…」

そして、きっと山倉も俺の事が好き

疑問に思うのは不安に思っているから

好きな子が自分の事をどう思っているかってすごく不安だから

だから、考えてしまうのだろう

でも、今までの事を考えれば山倉は俺に好意を持っているはず

そう考える事にした…悩んでいても仕方がないから

そんな風に考えると自然と身体が軽く感じてくる

顔も自然とにやけてくる

進路調査票は相変わらず白紙のままだったけど、ちょっと憂鬱だった学校も楽しみに思えてきた


戻る ホーム 目次 次へ